長年ベーシストをやってきてようやくわかってきた、リズムを感じるコツ


Basses in the room

今回は音楽ネタです。
筆者 Nsky はベーシストです。ベースというリズム楽器を演奏する上で、最も大切な要素とも言えるのが、「リズム感」とか「グルーヴ感」とか言われる物。
もちろんリズム楽器以外の全ての演奏にも必要な物なのですが、この曖昧でつかみのどころの無い物について、自分なりに分かってきたと感じている一つの方法論について書いてみます。

リズムにおける課題

リズムを正確に弾くというのはもちろん基本なのですが、人間のやる事なので、どう感じながら弾くかによって微妙にゆらぎやばらつきが出てしまいます。
そしてそのゆらぎが、アクセントの付け方と共にリズム全体の流れを心地よくもぶち壊しにもしてしまう。

正確に弾くだけでも簡単じゃないのに、どうすれば心地よいグルーヴ感を安定して表現できるのか?

ベースを弾くようになって以来、苦節ン十年(笑)。明確な基準はなかなかどこにも書かれていない、この訳の分からない曖昧な事について何度も考えたり悩んだりさせられてきました。

鍵は「の」の字

いきなり結論ですが、試行錯誤の結果分かってきた事は、リズムを「の」の字で感じるという事。
「なーんだ、そんな事か!」 と言われそうですが、
僕にとっては大発見だったこのシンプルな事について少し説明します。

直線的なリズムの感じ方

例えば4分音符を例にとると、まずは1小節の長さを4つの等間隔に割って弾く事を考えます。この最もシンプルな概念を図に描いて表現するとこんな感じになります。

直線的なリズム感

  音符を時間的に等間隔に弾く事をだけ考えるとこんなイメージになると思います。裏拍を入れるとすると、この間に棒が追加されるイメージです。

もちろん正確に弾く事は大切なのですが、この考え方だけで感じようとするとリズムを流れで感じにくいので不安定にもなりやすく、不規則にばらついたりテンポが走ってしまったり、もたついてしまったりしやすくなります。

「の」の字を描くようなリズムの感じ方

そしてこれを「の」の字で感じるとこんなイメージになります。

曲線的なリズム感

線の太さは「の」の字をたどる時の速さを表しています。太い場所は遅く、細い場所は早く動きます。この動きを時間を追って説明していくとこうなります。

  1. それまで早く動いていた動きが表拍のビートポイントでグイッとゆっくりになり
  2. そのまま更に速度を落としながら最下点をくぐり、
  3. 徐々に加速しながら裏拍のビートポイントを通過したあと一気に加速してまた次の表拍のビートポイントへ向かう。

こんな感覚をテンポにあわせて感じていきます。
表拍、裏拍のビートポイントが「の」の字の最上点、最下点では無い所がミソ。
加速感を感じながら粘っこくイメージするのがポイントです。

一度、書道の達人になったつもりで、音楽のテンポにあわせて人差し指をこのように粘っこ~く動かしてみてください。

「の」の字メソッドの効果

感覚が分かってきたら、この「の」の字の感覚を体の中、特に腰のあたりで意識しながら好きな音楽を聴いてみてください。聴く音楽にもよるかもしれませんが、演奏者とグルーヴ感を共有できるような心地よさを感じる事ができるはず(?)。

僕はこの感覚を持ちながら演奏する事で、それまで曖昧だったリズムを感じるコツが、グッと明確になってきたと感じています。裏拍を後ろへシフトしたビート、いわゆるシャッフル系ビートが捕らえやすくなってきました。もちろんイーヴン系のビートにも応用可能です。また、テンポが走ったり、もたついたりという事が少なくなってきました。

リズムのフィーリングって主観的な物で、人によって感じ方やコツは違うかもしれませんが、このやり方はそうズレては無いと思います。

応用編

このフィーリングは色々応用パターンが考えられます。
「の」の字の1周期を4分音符のみならず、2分音符や、1小節、8分音符に当てはめたり裏拍を始点にしてみたり、それらを同時に意識してみたりと、変幻自在に変えてみる事で、ビートの感じ方の幅が広がります。
また加速感を強調して、より粘っこく感じる事で強いグルーヴ感を感じる事もできると思います。

グルーヴ感のルーツ

こういったバネのようなグルーヴ感というかスィング感って、アメリカ音楽、中でも黒人音楽からは特に強く感じる事ができます。想像するに、英語が持つ発音のニュアンス自体が元々スィングしていて、更に多くの黒人系の人は持って生まれたフィーリングというのも相まって、結局日常生活の中から自然に身についている事なんだろうと思います。

そして、日本人の僕にはどうやったらあんなリズム感で演奏できるのか...?
それとも彼ら特有のフィーリングで、決して真似できない事なのか今まで考えてきましたが、ほんの少しだけ近づけた....かもしれませんw。

ただ、クラシック音楽ではこのフィーリングは殆ど無意味な物になるようです。美しいピアノソナタで音符が少しでもハネていたら、かえって台無しになってしまいそうな感じがあります。クラシックの世界で黒人の一流演奏家が少ないのはこの辺りとも関係があるのかもしれません。黒人でもクラシック音楽を学ぶ人は大勢いると思いますが、体の中にあるフィーリングの為、最終的にはJazzやR&Bの方がしっくりいくのかな。

最後にこの「の」の字のグルーヴ感が特に強く感じられるサンプルを紹介しましょう。僕が最近好んで聞くコンテンポラリー ゴスペルのシンガー/ドラマーの Doobie Powell のライブから。

27. 1月 2012 by nsky
Categories: 音楽 | Tags: , , , , , , | 6 comments

Comments (6)

  1. 初めまして。グルーヴについて悩んでいるときにたどり着きました。
    のの字のグルーヴ感、いつの間にか忘れて、縦でリズムをとってしまっていることに気づきました!ありがとうございます!
    怒られっぱなしだったのでもしかしたらこれが解決の糸口になるのではないかとうれしくなり書き込みました!
    ありがとうございます。

    • Kiyoshiさん、コメントありがとうございます!
      のの字グルーヴ、好きな音楽を聴いている時、そのテンポやボーカルに合わせて、楽器を弾くとき、歌を歌うとき、または歩くテンポにあわせて、普段から感じまくって見てください!
      記事が突破口になることを願っています。

  2. 長年リズム音痴で悩んでいましたが、この方法で手拍子を叩くとリズムに上手く乗れるようになりました。
    ありがとうございました

    • masaya さん、コメントありがとうございます!
      承認がおくれてしまい、すみません。
      記事がお役に立てて嬉しいです。
      シンプルな概念だけに応用が利きます。
      色々試してみてください!

  3. 私も、ベースが遅れている、とキツいお言葉を貰っております(昨日もです)。
    自分では、合っていると思っても、遅れているようです。
    基本的に、バスドラに合わせていましたが、シンバルに合わせると、
    大分良くなった、とは言って貰えたんですが。
    「|」のリズム取りと、「の」の字、確かに前のめりで音を出した方が、乗りそうですし、遅れも出にくそうです。
    やってみます。
    感謝!

    • 遅れて来たベーシスト さん、コメントありがとうございます。
      お返事が遅れてしまい、すみません!

      記事がヒントになって嬉しいです!
      バスドラムに合わせるか、シンバルに合わせるか、
      スネアに合わせるかで聞こえ方が変わる事ありますよね。
      でも、ドラマーも同じ人間なので、人によってはバスドラムが早いとか
      もたるなんて事もあるので、録音して自分で確認してみるのも
      いいと思います。
      僕の経験では、裏拍は微妙にルーズでも、表拍がハマっていれば
      心地よく響くようなところもあると思っています。
      趣味でも音楽をやっていると、このリズムの事だけでも
      奥深い探求テーマになっていきますね。

Leave a Reply

Required fields are marked *